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中小企業の方々の経営のお悩みをご一緒に解決します!

悩みの相談コーナー

今まで皆様からご相談頂いた主な内容を掲載してありますので、ご活用下さい。

再就職先選択へのアドバイス

40代前半の者です。前職を退職し、再就職活動をしておりましたが、最近同時期に二つの企業から内定通知をいただきました。 両社とも魅力があり、どちらに就職しようか迷っております。A社は給料が良いのですが、勤務体系がハードで、仕事は未経験のものです。B社は給与水準があまり高くないのですが、仕事がおもしろそうです。 家族(妻、子供2人)の生活を考えればA社の方が良いと思いますが、B社の仕事の魅力も捨てがたいところです。どう考えたらよろしいでしょうか。
会社(仕事)を選ぶ時の大事な要素が2つあります。すなわち(1)仕事そのものの魅力(やりがい、働きがい)と、(2)給与等の処遇です。 どちらも大事ですが、まずは悔いのない人生を考えることです。残された20年余りの仕事人生、何がしたいのか、何を持って自分をアピールしたいのかを考えて仕事(会社)を決めることです。 もちろん、家族の生活のことも考える必要があります。そのためには家族の協力了解も取り付け、生活の青写真を描くことを怠らないことです。 そういうことから考えて今回の場合、生活面の裏付けがある程度得られるならば、B社への入社をお薦めしますし、生活費を多く必要とするならばAへ入社することです。 ただし、往々にして入社前に思っていたイメージと実態との間にギャップがあります。あなたはまだやり直しがきく年齢です。選択が間違っていたと感じた時はいつまでも留まることはありません。 不況下でも実力のある中途人材を欲しがっている企業はたくさんあります。ただし、粘りのない、安易な転職だけは避けて下さい。理想的な企業はなかなか実在しません。 どの企業も問題を抱えております。その中であなたが問題解決に向けて努力し、自己実現するのです。

09.12.14   SAVS会員 専任コンサルタント 榎本直行


クリーンとグリーン

最近、環境に関する用語で意味するところが意外に難しく相手の理解度にあわせて内容説明が必要な場合が多くなってきた。
クリーンとグリーンという形容詞などはその典型で、その意味内容が時代と共に深化してきている。もともとは「クリーン」は清潔、「グリーン」は緑だから、 私など環境エンジニヤリングに携わってきた市民には、前者では真っ先にクリーンセンター(清掃工場)、また後者では緑化を思い浮かべる。 ところが京都議定書でいうクリーンディべロップメントメカニズム(CDM)は温室効果ガスを削減できる先進的プラント設備やシステム等を、 オバマ大統領のいうグリーンニュディールは温室効果ガスの排出の少ない低炭素化社会を目指した経済施策全般をも包含している。
今秋、国際派診断士グループのお誘いで中国瀋陽市の環境管理局を訪ねた時の質疑の中で、日本では多くの都市でいまや環境施策の重点がクリーンからグリーンに移りつつあると説明したところ、 先方はグリーンを街路樹の整備による自然景観保護と理解していたことが分かってちょっと変な気がした。

09.12.17   SAVS会員 専任コンサルタント 福井 洵


社員の原価意識を高めるよい方法は

社長や経営幹部の方々から「うちの社員はどうも、原価意識が低く、多くのムダを見逃して放置している。 だからうちは儲からない。何かいい方法はないのかな。」といった声をしばしば承ります。
社長や経営幹部がいくら毎日社員に向かって「原価意識を持て」と繰り返し言っても、社員にはどうしたら原価意識を持つことができるのか、その具体的な方法や着眼点がわからないことが往々にしてあるのではないでしょうか。 「意識を持て」と言うだけなら、壁に貼るだけなら原価意識は高まらないでしょう。 社員がムダを発見し、それを排除し成果をあげることに喜びややりがいを見出せるような具体的な工夫・仕掛け、が欲しいのです。 例えばものづくりの専門的な知識がなくても、日々の生産や販売の実績を、工程・売り場あたりや1日あたり、時間あたり、単位面積あたり、作業者一人あたりというように数字で把握し、それを時系列やタテヨコに比較して、差異の原因を探ることでムダの存在が一人一人実感できるよう「見える化」することなどもそのひとつですね。

09.12.08   SAVS会員 専任コンサルタント 川田國博


国の補助金制度を利用したいのですが・・・

新たな事業を推進するとか、新製品開発を計画しているとき、国あるいは都道府県の補助金制度やその他支援制度を活用することをお勧めします。そのための要点を次に列記します。
1.補助金制度や支援制度の情報は、経済産業省(近畿経済局)、中小企業庁、都道府県のホームページで時々チェックして下さい。また、(独)中小企業基盤整備機構の中小企業ビジネス支援サイトJ-Net21では、総合的に施策が紹介されています。
2.インターネットでの調査に慣れない方は、最寄りの中小企業支援機関(経済産業局、商工会、商工会議所、中央会、地域力連携拠点等)に相談されるのも良いでしょう。また、そこで配布されている冊子「中小企業施策利用ガイドブック」でいろいろ調べて下さい。
3.補助金が募集開始されてから応募準備を始めても、締め切りまでの日数が短いので、準備は間に合いません。そのためには、常に応募できるよう、事業計画、新製品計画をまとめ(本来、補助金申請とは関係なく、まとめてあるべきものです)準備しておいて下さい。
4.補助金を申請する場合、申請書の書き方や内容が採択に大きく影響することが多いです。申請書を作成する場合、当支援センターにご相談下さい。申請書作成の要領をご指導いたします。

09.12.12   SAVS会員 専任コンサルタント 加藤隆司


経営改善は何から始め、どのように進めればよいか

経営上の問題と言っても、会社内部の問題、顧客との問題など、種々雑多です。あなた の会社の実態に照らし合わせて、何が重要な問題なのかを見極め、課題を設定することが 大切です。 課題(テーマ)の例としては、日常業務で困っている点、仕事の効率性が悪い、 品質上のトラブルが多い、顧客からのクレームが多い、新製品の開発が必要である、従業 員の教育が不足している等、幾らでもあります。企業が存続する限り、問題の発生は尽きません。 重要な課題を設定するには、経営者が自ら設定することもありますが、最も望ましいの は、従業員全員が意見を出し合って議論し、その中から皆の総意により課題を設定するこ とです。何故ならば、人間は人から命令されるよりも自主的に考えて、実行していく方を 好む傾向にあるからです。勿論、このようにして決めた課題を経営者がチェックする必要 があります。そしてこれらの課題をPDCA(計画・実行・チェック・アクション)のサ イクルで回して解決していくことです。 最近では「見える化」ということが言われています。これは、企業が成長し、従業員が 増えてくると、現場の実態や問題が見えなくなる傾向にあるので、日常、業務の見える化 を意識して仕事を行っていくことも必要です。

09.12.10   SAVS会員 専任コンサルタント 八木芳昭


銀行から緊急融資を受けたいので経営計画書を作って欲しい

中小企業の経営支援をしていて経営者から、こんな要望を聞くことがあります。最近の景気悪化で聞く回数も増えました。 今の時代銀行から融資を受けるには「経営計画書」は必須条件です。事業経営資金の融資受けは担保では受け付けてくれません。 事業からどれだけの収益が得られるのか、そこから返済が十分にできるのか?融資審査の基本条件です。そのことがきっちり計画されているのか? 即ち「計画書」に現されているかです。 このことからどうも一部の経営者の皆さんは、"経営計画書"は資金を借りるための「道具」とお考えの節があります。「社長、経営計画書はお金を借りるためのものではなく、実際に経営(改善)をするためのものですけれど。 だから自分達が必至で経営改善する方法を書きまとめたものでなくてはいけません。お金を借りるに十分な経営改善内容になっていないと意味がありません」。 どうも経営がうまくいかなくなると、経営の中身よりとりあえずの資金繰りに走って、借られたら"よかった、よかった"で済ませてしまいがちです。喉もと過ぎれば熱さを忘れるす。1年もしないうちにまたうその計画書作りになってしまう。普段から経営管理をしっかり行いたいものです。

09.12.09   SAVS会員 ビジネスプラン研究所 原田友康


管理会計はどんな時に役立つのですか?

社長は、「これからの時代、売上げの大きな増加は望めない。利益重視でいくしかない」と考えていた。そこで経理担当を呼び、「新たな投資も人員増もなしで、3年後に今の利益を倍にしたい。 売上をどのくらい増やせばよいか、早急に計算して欲しい」と命じた。しかし1週間経っても経理担当氏からの返事がない。どうやら経理担当氏は、過去の財務会計の決算書を読み込んでみたものの、利益が倍になる売上ポイントを見いだせずにいた。 それもそのはず、売上高の増減に連れて変動する費用と、それとは無関係に発生する費用が、財務会計の決算書に表されていないからだ。
管理会計では、前者を変動費、後者を固定費と呼ぶ。売上高の増減に応じて増減する費用の割合が分かれば、すべての固定費を回収した上で目標とする利益を確保するために必要な売上高が簡単に見いだせる。このように管理会計は、将来の計画を立てる際に威力を発揮する。このほかにも、どれだけ売った時点から儲かりだすか?何をどれだけ作ってどれだけ売るのがベストか?といった経営の戦略的意思決定に関わる問いに瞬時に答えを出すツールが管理会計である。管理会計を知らなければ、これからの経営の舵取りは出来ないと言って良いだろう。

09.11.26   SAVS会員 専任コンサルタント 佐藤 徹


顧客ニーズを把握するのは難しい

顧客ニーズを先取りして事業戦略をたてることの重要性は認識しているが、どうやって顧客ニーズを把握したらよいのかはなかなか難しい、との声を良く聞きます。実際、これが顧客ニーズだ、と把握したつもりでも、開発商品がアピールできなかった例も沢山あります。顧客自体が自己のニーズやウオンツに気づかないケースもあるのですから。(これは潜在ニーズですが)
顧客ニーズの把握源について、2009年の中小企業白書から引きますと、1位:日常的な取引業務70%、2位:新規顧客開拓の訪問営業30%、3位:見本市や展示会への参加20%、その他自社ウエブサイトへの活用、モニター調査、インターネット広告の活用、と続いています。結局、顧客ニーズの把握について何か素敵なノウハウがあるわけでもなく、営業活動のあり方そのものが問われるのです。
普段の営業活動において、顧客の求めているものを常に意識し、問いかけ、提案し、試行錯誤する過程を経て、ああこれが顧客ニーズだったと気づかされるわけです。顧客ニーズの把握、顧客価値の提供、顧客満足の獲得は、ほぼ同時的に一体として、実現されるとの強い覚悟が必須です。

09.11.24   SAVS会員 専任コンサルタント 石井 辰雄


5S活動の「抵抗勢力」の意識を変えた事例を教えて欲しい

5Sの支援指導を行っている事例をご紹介します。
U社はプラスチックの成形と金型を製造している70人程の会社です。
工場全体の5Sの進め方は月1回の指導会で1時間の座学と2〜3時間の現場指導、実施で進めました。座学では5S、ムダ取りの基本を教え、途中からグループミーティング(小集団活動)を実施して、自主活動ができるように仕向けました。現場指導では5Sの指摘だけでは進まないので社長さん、世話役、現場リーダー、作業者と一緒にその日に実践する設備、作業台、現品棚を特定して赤札作戦、掃除、3定を実践していきました。
そのような活動を1年ぐらい続けた結果、除々に良くなり、成形工場ではお客さんの評価もよくなって受注に結びつくようになるまで5Sが進みました。他方、金型工場では年配の熟練者で職人気質の人が3、4人と若い人が5、6人で構成されており、若い人は5S活動に対して積極的に取り組んでおりましたが熟練者は非協力的で、外から眺めているだけでした。若い人もこうしたらよいと思っていても面と向かっていうことができませんでした。以前に比べ金型工場の5Sも進みましたが機械の油汚れ、切粉が未だ残ったままでした。
1年位経ったあとの指導会で現場に行きますと機械がきれいに拭かれて油汚れ、切粉が減っておりました。現場で確認しますと熟練者が自主的にやったとのことで抵抗勢力が少し推進勢力に変わったと実感しました。理由として、一つは社長さんの5S方針と率先垂範(行動)、一つは座学、グループミーティングで5Sに対する意識の芽生え、一つは現場の5S実践の成果をつぶさに見て必要性を感じるようになったことで意識が変わり行動が変わり始めたと思われます。
「人は変わることができる」という信念で辛抱強く、いろんな手で取り組みましょう。

09.11.11   SAVS会員 山下経営事務所代表 山下勝正


PDCAは大企業がやることでしょう

中小企業の管理職研修をしていたときのこと。事業活動のPDCAのサイクルについて説明を終えたら、常務から「頭ではその方がいいように思えますが、そんなことやっていたら、何もできません。それは大企業がやることと違いますか?」と質問がきた。計画を立て、それに従って活動し、活動状況をチェックし、計画と実績との差異があれば対応し、それを繰り返すことを継続することは、頭で考えると大変なことのように思えます。また、PDCAのサイクルは、日々繰り返される定常的な活動にのみ効果があるように説かれているようです。
確かに、計画段階で全てを決められる事業活動があれば、どれほど仕事が楽になるか知れません。活動は未来のことなのですから、現実には、計画通りになることは少なく、計画変更されるのが、日常茶飯事でしょうし、計画変更がない仕事なら、人間など不要になります。
「常務、大事なのは、その方向を目指して考えること、考えた通りにやること、やって駄目なら修正することですよ。先ずやりましょうよ」。

SAVS会員 桜井IT研究所代表 桜井秀治


CSR(企業の社会的責任)について

最近、CSRという言葉を聞くようになりました。またこれに関して新しいISOも決められるようです。どのようなものか、また弊社のような規模の小さい企業とどのような関係があるのか解説してください。 『コミュニティビジネス』を始めるべきとの話も聞きますが。
『CSR』とは、『Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)』を略したものです。企業も社会の一員であり、事業を継続するために、社会的公正性の実現や環境への配慮を経営活動の中に組み込んでいく責任を指しています。 具体的には法令遵守(コンプライアンス)、消費者保護、環境の重視、労働安全衛生、人権擁護、社会貢献などが対象となっています。CSRが叫ばれるようになった理由には、食品偽装を初めとする企業の不祥事が続発していることもあげられるでしょう。 しかし、ひるがえって考えて見ますと、先ず自社の本業をしっかり実行することがCSRの基本と言えます。継続して利益を獲得することによって、経営者は事業発展のモチベーションを持ち、社員の雇用を確保して働き甲斐を持ってもらい、また国家と地域に納税を通じて貢献することは、基本的な社会的責任を立派に果たしていることなのです。
1.新しいISOが平成22年に制定される予定です。 江戸時代の近江商人の『売り手よし、買い手よし、世間よし』という『三方(さんぽう)よし』の考え方はCSR思想であったと評価されています。しかし欧米に先んじてこの思想を世界に広めることが出来なかったのは残念なことでした。 現在ISO(国際標準化機構)では平成22年のISO26000『社会的責任に関するガイダンス規格』発行を目指して審議中であり、現時点でのドラフト(草案)が日本規格協会のHPに掲示されています。 この規格は今までのISO9000等と違って『認証』を行わないガイダンス規格となりますが、いったん制定されるとそれを意識する必要があるでしょう。社会的責任とは企業だけでなく全ての組織がになうべきであるとの見地から取り進められています。 しかしその内容は、『組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、及びコミュニティ参画及び発展』等という基本的な企業活動にかかわるものです。『コミュニティ(地域共同体)』といっても何も難しく考える必要はありません。業界団体や商工会に参加して活動することも『コミュニティビジネス』の一環です。
2.中小企業のCSR活動は初歩的な段階にあります。中小企業にはCSR活動など関係ない、そんな余裕もない、とよく言われます。 確かにその通りなのでしょうが、前述の『本業をしっかり実行する』ことを初めとして、無意識に行っているCSR活動があるのです。 業界団体や商工会に参加するのもそうですし、県や市や公的団体から自社の技術などに対して表彰状や賞をいただくことも立派なCSR活動の結果と言えるでしょう。これは、前に述べた規格ドラフトの中の『経済的に実現可能な場合には,技術の移転及び普及を可能にする活動を採用する』(6.8.6.2節)という一項に対応します。ただ、総じて今の規格ドラフトでは技術活動に関する認識が薄いのが問題点と言えます。 中小企業のCSR活動はこれからで、今はその初歩的な段階にあるといえるでしょう。技術者が本来の仕事として行っている社外発表や標準化活動なども上の『技術の移転・・・・』という一項に照らしてCSR活動に対応するものと判断できます。先ず無意識に実行している自社の本業を再評価することからCSR活動が始まります。 規格ドラフトには『すぐに準備・導入でき、組織内の社会的責任へのモチベーションを上げたり関心を高めるのに、役に立つもの』(7.3.4節)との記載もあるのです。
3.CSR活動をどのように評価するのでしょうか?
数年前に大企業がCSR活動に取り組み始めた時、『CSR活動とは発展途上国へ行って植林をすること』というような極端な理解が生まれたと聞いています。今でも各社のCSR活動の報告書はまちまちで、共通の評価基準を探すことは難しい状況です。しかし平成22年のISO26000制定とともに共通のCSR活動の評価法が検討され、その評価をもとに金融機関から優遇を受ける仕組み等が始まることも予想されます。 筆者も各期の決算書とISO26000(ドラフト)に対応する評価項目からCSR活動に関する効率、すなわちCSR評価ポイントを算出する提案をしています 注1)。このような提案が今後のCSR活動の普及・発展の一助となれば幸いです。

注1)上住好章、林敬孝:『CSRに関する最近の動向と企業におけるCSR効率の追跡と計画』、実践経営学会年次報告書No.46、181〜187ページ、2009年8月
注2) 本文は(財)ひょうご産業活性化センターの発行する情報誌『ひょうご経済戦略』2008年12月号に上住が執筆した記事を一部修正して採録しています。

SAVS会員 専任コンサルタント 上住 好章


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