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随想の広場

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「自主自立」と「連携」』

10.04.01
SAVS会員 川田ビジネスクリエーション代表 川田 國博

 先日東大阪のクリエーションコア(略称クリコア)を久しぶりに訪ねる機会があった。多くの特色ある地場中小企業が自社の得意技を意欲的に力強く発信している。各社の展示をひとつひとつ興味深く見学した。時間の経つのを忘れるほどに充実した内容だった。
 各社の展示ブースにはそれぞれ案内板があり、選りすぐりの簡潔にして効果的な説明文が掲げられている。その中でも共通して用いられているキーワードに気がついた。「独自の技術」「オンリーワン」そして「連携」である。中小企業の生き残りの道として、「連携」の重要性は、国や府県、地域の政策にも近年しばしば登場する。
 東大阪の数多くの連携事業の中のひとつに、人工衛星「まいど1号」打ち上げのプロジェクトがある。(2009年1月打上げ成功、同年10月まで運用)その開発拠点が、このクリコアに在ることもよく知られている。このプロジェクトはご承知のように多くの中小企業がその持てる知恵と技術等、経営資源を結集したまさに「連携協力」の賜物である。そしてそれを支えた宇宙開発機(JAXA)や大学/研究機関等の多くの専門家による大きな連携支援があったことも、成功のカギと言えよう。しかし成功に至るプロセスは決して順調一路ではなく、多くの曲折や困難、挫折があったと聞いている。

 一方「オンリーワン」「独自技術開発」の成功事例においても、成功するまでに幾多の挫折や失敗を重ね、倒産の危機に瀕しながら、経営者従業員一丸となった、あくなき執念と熱い想いや、目的に向かっての高い志の堅持から生まれた例が多い。
 自主自立も連携も決して生易しいものではないと思う。連携も事業目的が不明確で、安易な他者依存であれば、仲良しクラブや情報交流会に陥る恐れが大きい。やはり連携メンバーに、確かな独自技術や得意技そして事業の高い志がなければ成り立たない。
 逆に独自技術を自力で開発し独力で道を切り拓くことは尊い企業努力であるけれども、事業を成功させるには、併せて他の企業や大学研究機関等と連携し、支援や教えを受け、謙虚に素直に、外部の知見に学ぶことも必要なことが多いと思われる。
 自主自立の姿勢と連携協力が両両あいまって、大きな成功がもたらされるのではないだろうか。


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