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やればできるゼロエミッション

10.05.22
SAVS会員 桂経営研究所所長  桂 彰

 最近は、廃棄物のゼロエミッションという言葉をよく耳にする。資源の有効活用や廃棄物処理場の余力問題などを解決するため、廃棄物をゼロにしょうとする活動である。

 この件で思い出すのは私の会社勤務時代のことである。ISOの環境方針で「廃棄物の削減:ゼロエミション」が掲げられた。それを推進するために環境責任者であった私は、事務所の各自の机の傍に置いていたゴミ箱(約50個)をすべて撤去し、その代わりに1箇所に種類別に表示した廃棄ボックスを準備した。それまで各自の傍にゴミ箱があつたので、最初は「ゴミ箱が手元になくて不便でしかたがない」とのクレームがみんなから出てきた。それでもこれらのクレームを私は無視し続けた。
そうして1ケ月も経過すると次第にクレームが出なくなってきた。なぜなら、毎日、掃除当番が大きなゴミ袋2〜3杯のゴミを捨てに行っていたのが、それらの廃棄ゴミが出なくなったからである。それまでのように机の傍のゴミ箱に丸めてポイ捨てとは行かず、遠くのゴミ箱まで運ばざるを得なくなった。そうすると各自が廃棄物を少なくする努力をするとともに、手元で廃棄物をプール、分別し、ある程度溜まってから運ぶような工夫を始めたのである。このようにゴミ箱撤去が廃棄物削減に一番効果のある方法である。

 一方、1箇所の種類別の廃棄ボックスを置いてから、廃棄物をコピー紙、新聞、雑誌、封筒類、ダンボール、空き缶、ペットボトル等の種類別に分別廃棄すると大半が有償で売れるようになった。さらにシュレッダーで処理していた機密書類も特定の業者と契約して再資源化するようにした結果、廃棄物がほとんどなくなったのである。
みんなが「混ぜればゴミ、分ければ資源」ということを認識し、分別廃棄を徹底してくれたからである。このように廃棄物ゼロの目標を設定し、みんなをその気にさせることができれば、ゼロエミションはそんなに難しくないことを実感した。


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