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随想の広場

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慈心相向 仏心相看 −診断(診察)に寄せる思い−

11.01.28
SAVS会員 JTO福井事務所 代表 福井 洵
1.「慈心相向 仏心相看」 −診断(診察)に寄せる思い−

 診断という言葉を聞いたり使ったりするとき、この言葉の意味する事態にハッとすることがある。6年前に私はある病院で大きな手術を受け、5年経過するまでは少なくとも3か月に一回は受診してきた。この間、担当ドクターは変わってしまったが、いつも変わらないのは診察室の入り口の額に納められた墨書のモットーとそれを体現するドクターの応対である。墨書はどなたが書かれたのか知らないが、6年前の担当医の説明では当科はグループ診断を旨としている由であったから多分リーダであった名医がかかげられたものであろう。

 曰く「慈心相向 仏心相看」

 仏教的な言葉であろうが、慈心は日常的に人を愛する気持ち、仏心は道理の悟りを意味していると思う。 これを見て、英国の経済学者A・マーシャルの言葉「warm heart, cool brain」を連想した。おかげで、私はいつも感謝の気持で診察を受けている。

2.「マネージメント診断について一言」 −ものの見方・見え方の多様性−

 ものの見方・見え方は、見る人の視点、見る時点、見る人の感性・個性、の三つによって、たとえ対象が不変であったとしても変わってくる。 同一水平線に距離の異なる二つの固定対象物を見るとき、両眼で見ると両者の距離の遠近が分かるが、右眼だけで見る近くの対象物は左に遠くの対象物は右に移動し、左眼だけで見ると移動が左右逆転する。

 また、水平面を同心円で回転する点の軌跡は、同心上の離れた固定点を視点としてみると円であるが、一定速度で同心上を遠ざかる移動視点からみるとそれは求心螺旋となり、ついには円心点に収れんするだろう。 前者は二次元と三次元視点での見え方の差、後者は時間軸を加えた4次元的視点での見え方である。
対象物が最も単純な点であっても視点の置き方によって見え方はこれだけ変化する。客観的に対象を捉えるための複眼的視点・複数時点観察の大切さを痛感する。

 さらにマネージメント診断に必ず関係する人の感性・個性との絡みについては上記1「慈心相向 仏心相看」以外に一般化していえるものを私は今持ち合わせていない。


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