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頑張る小売業:逆境を乗り越えていく酒販店

11.04.05
SAVS会員 ISM原田コンサルティング代表 原田 高峰

 今日は小売業の中でも酒販店に目を向けて考えてみたいと思います。お酒は食品であり、食品を取り扱う町の小売店はほとんど見かけなくなりました、市場などの中に少し店舗があるくらいです。スーパーかコンビニにほとんどとってかわられてしまったのです。その中で酒販店の看板は通り沿いに時々見かけますが、その実態は立呑みか自動販売機だけの店に変わってしまっているのが現状で自販機ももうぼろぼろになりかけているのではないでしょうか。

 そこで、お酒の業界についてすこし調べてみました。お酒の業界は1990年ころの総需要が7兆円強で市場としてはピークでした。お酒屋さんも市場環境が一番良いころで酒販免許に保護され、11から12万軒のお酒屋さんが平均で年間6千万円くらいの売上を上げてわが世の春を謳歌していました。それが今では見る影もなく他の小売業と同じ衰退の道をたどっています。その一番の原因は規制緩和によるスーパーの酒類販売です。現在の市場規模は総需要5兆円ほどといわれ、ピーク時の70%程度です。その中で免許件数は19万軒ともいわれ、160%くらいに増えています。増加件数の大半はスーパーとコンビニです。2,3か月前の新聞にイオングループのお酒の売上高が年間で推定2,800億円くらいと書かれていました、総需要の約6%で、ピーク時の平均的な酒販店約4,700軒分です。

 お酒の業界構造は大きく3分類できます。晩酌等家庭で飲む酒が総需要の約60%(3兆円)、飲食店さんへの納入(業務用需要)が30%(1.5兆円)そしてギフトその他需要が10%程度と推定されます。業務用やギフト用プレミアム酒などを専門的に売っている酒販店は売り上げをあまり減らさず、健全に残っているのです。家庭用酒販店が壊滅的状況にさらされているのです。

 そのような環境の中で先日ある家庭用酒販店(1部業務用もあり)が2店目となる新店舗を出店されました。家庭用販売をしながら、業務用も取り込もうという意図で出店されました。立地を吟味し、しっかりした事業計画を立案しての出店で経過は良好のようです。1階12坪、2階10坪の小さな店舗ですが2階を有効活用して売上高3億円を目指して頑張っています。私も支援をしながらやる気さえあればできるものだと気持ちを強くしているこの頃です。


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