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9年ぶりの国際学会発表

11.12.26
SAVS会員 上住技術・経営企画代表 上住 好章

2011年9月に9年ぶりの国際学会発表を行いました。ただし開催場所は東京(早稲田大学理工学部)でした。 前回は会社勤務時代の2002年で、米国鉄鋼技術学会(AISE)での発表のためにプレスリーゆかりの地テネシー州ナッシュビルへ行き、発表の後に業務のためニューヨークに立ち寄って帰国しましたが、同時多発テロの1年後で、各所で警戒が厳しかったことを思い出します。

産業技術短期大学の非常勤講師を長らく担当していますが、新しい科目『応用シーケンス制御』を担当して3年になったので、その科目運営の考え方を産業技術短期大学誌に教育論文として発表しました。折角のことならば自分が所属している計測自動制御学会(SICE)の年次大会でも発表と情報発信をしたいと考えて応募し、採択されたものです。

この学会は国内に基盤を持つ学会にもかかわらず、その年次大会は9年前から英語を公用語とする国際学会として運営されています。 今や英語を公用語とする方式が揺るぎなく定着し、参加する海外勢の人数が激増しました。 しかしこのような学会の国際化のための地道な努力はマスコミに余り取り上げられません。要するに国内だけを見ていればよいマスコミの人達の国内ボケではないかとも思います。 グローバルに戦わねばならない技術系の学会の世界はかくも厳しいのです。

この大会で時々見かけるのは、細かい字で発表内容を書き込んだスライドを作った上に、発表用の原稿を作って棒読みする豪傑です。 英語での発表を強制されるからこうなるのでしょうが、あまり感心しません。スライドが見にくい上に、会場の聴衆の顔を見ずにしゃべるから、どうしても早口になってわかりにくいからです。大学院によってはこのようなカンニングペーパーもどきの発表を禁止しているところもあるようで、若手研究者が発表内容を頭に叩き込んで堂々と前を向いて発表しているのは、見ていても気持ちがよいものです。 自分はどうかと言えば、記憶力の衰えは争えないので、キーワードをスライドに埋め込んでおいて、これを発表の時に指示棒で指し示しながらフロアの聴衆に語りかける流儀にしています。

フロアの聴講者の中には日本人以外の人が3名いました。うち1名は次の発表者で、アフリカから来て日本の大学に留学している人です。この人から思いがけない質問がありました。講義は英語でしているのか?というのです。確かに、途上国には自国の言葉で大学の講義が出来ないところもあると聞いています。無論、講義は日本語でしており、発表用に英訳した旨丁重に説明しました。

掲載の写真はフロアにいる人に頼んで撮影してもらったものです。わずか15分ほどの発表時間でしたが、久しぶりの国際学会発表は、ふだんの日常生活とは異なったハレの場であり、思い出深いものとなりました。


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