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化学企業の人材資源再確認

11.12.26
SAVS会員 千里技術経営研究所代表 加藤 隆司
化学工業は、一般に素材型装置産業と言われている。大型装置で大量生産される製品はスペックと称される品質規格で明快に管理されている。
化学工業のような装置産業では、装置の運転をしっかり行えば良品が得られると思われている。

しかし、われわれが関係する中堅・中小化学企業は、与えられた素材に別の素材を加え、付加価値とか特殊機能を付与する加工型の産業である。
装置の運転を始め生産条件の調整が微妙に難しく、経験が尊重される。
極端な表現をすればハンドメイドである。
必然的に生産の振れは大きくなりがちで、品質は素材型化学品のように明快に管理されるものではない。
とりわけ、付加価値の評価は難しい。加工型化学品の品質評価が難しいのは、次のような要因があるからである。
  1. 生産条件の調整が微妙に難しく、工程での品質の振れが大きい。
  2. 品質評価するため少量試作するが、手間がかかりその際振れが生じる。
  3. 評価試料作成や評価測定の再現性が得られ難い。
    評価は常に正規品(標準品)と同時比較する。官能評価も少なくない。
  4. 繰り返し実験から得たデータから品質基準や作業標準を設定する見極めが難しい。
化学企業では、その他多くの局面で高度技術を要する難題に直面する。
日本の中堅・中小企業は、高度熟練者の技術に頼る部分が大きく、これが日本企業の強みであるが、化学企業も同様で、これらの難題をうまく処理できる人材の確保が不可欠である。
グローバル化の進展、その他多くの経営課題への対応を図るため、常時「人材資源」の再確認をしておこう。

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