研究会メンバーによる随想をお楽しみください。
意見交換や話し合いをしているとき、意見のすれ違いで不毛の論争になったり、場合によっては喧嘩になってしまうことがあります。 この原因を探ってみると、同じ言葉を使っているものの、その定義(イメージ)が違っている場合が多いようです。 定義が違う人同士が話し合ったとしても、意見が食い違うのは当然です。ある程度は仕方ないとしても、人間関係がこじれそうになったり、お互いに相手を軽蔑するようになった場合は何らかの対処が必要です。 こんな時は、一度冷静になってお互いの意味するところ(定義・イメージ)を確認し合うことです。 相手の定義やイメージが分かってしまえば、お互いに理解し合えて、より建設的で健康的な話し合いになることでしょう。 このようなことは、私が関わっている環境関連でもよく起こっています。 例えば、地球温暖化は「地球の平均気温が上がること」という定義の元で多くの科学者が議論し合っていますが、ここに「いや、地球は寒冷化している」と異議を唱える人が登場してきます。 彼らは、「場所によっては気温が上がっているところがある」とか「太陽活動が弱まってきていて、地球の温度は低下していく傾向にある」と主張します。 地球の平均気温を前提に話を進めているのに、「局地的な気温」や「地球という惑星の温度」のことを持ち出してきているのです。 平均ですから、局地的な話は別次元のことですし、地球自体が寒冷化しても、例えば北極の氷が著しく減少して太陽熱の吸収が大きくなり、平均気温としての温暖化が起こることはあり得るのです。 話が難しくなってきましたので、この辺で止めます。要は言葉は同じでも「異なる定義で」議論していることを見抜く必要があると言うことです。 ここ数年、地球温暖化を巡っての混乱が続いていますが、最大の原因は主に科学者間のコミュニケーション努力の欠如です。コミュニケーションの基本は傾聴です。まずは、「お互いの意味するところを心を開いて聴き合う」ことから始めることが必要です。 私たちビジネスマンも、日常業務の中で何気なく使っている言葉が「それぞれ独自のイメージ」で使用されているかも知れません。工程管理・品質管理・人事管理・情報管理・・・・。 話がこじれたとき、互いに批判し合う前に「その言葉はどんな意味(定義)で使っていますか?」と聴き合ってみてはいかがでしょうか。 最後に、みなさんにとって「お客様」とは誰のことでしょうか? 社長、経営幹部、製造担当者、営業マン・・・・にとって。 一度調べてみてください。そのあまりに大きな違いに驚くはずです。 「お客様第一」という言葉が机上の空論で終わりませんように。 |