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随想の広場

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様々な賜物を与えられた社員たち

12.10.05
SAVS会員 株式会社ウイズダムマネジメント取締役 長谷川 好宏
この会社を初めて訪ねたとき、工場の外壁はトタン張りで門もなく、道路沿いに原材料を入れたドラム缶や網パレットの出荷待ち部品などが置かれていました。外観から見た第一印象は正直良くありませんでした。

工場の中に足を踏み入れると現場作業は3Kに近い雰囲気を感じました。現場リーダーが案内を始めてくれましたが、注湯作業の騒音で説明も聞き取り難く、耳を近づけて話を聞かなければならい状態でした。
そばにあったスクラップ置き場を覗いてみると、原料スクラップは、一片毎に材質記号が記入され、スクラップ入れの箱も整頓され識別が徹底されており整然と管理されていました。工場内をよく見ると片付けが行き届いており改善工夫をしている箇所があちこち見られました。現場で働いている作業者の方も、型込め作業に集中していたり、機械操作をする姿勢が真剣であったり、別棟で防塵メガネをかけ火花飛ぶグラインダー作業者の姿は生き生きしているようにも見えました。

事務所に戻ってから「狭い工場で驚かれたでしょう。うちの社員は本当によく働いてくれるのです。」と社長からの一言。社長は日常業務を社員に任せ口出しなどはしないそうです。
工場長、技術部長、営業部長にお会いして話を聞いても、マネージャーとして社長の方向性に添った任務を果されていると強く感じました。この会社には社員が主体的に組織だった仕事をする仕組みができていました。

会社では、社員の成長のための教育にもしっかり力を入れられ、加えて個人の資格取得も会社からの後押しがあります。福利厚生面でも社員の子ども向けの手当てや医療費補助の制度が充実しています。

ここで働く社員たちは会社に損をさせてはいけないと時間効率を考え、ムダを探し排除します。改善提案は報告書類でバインダーに一杯になっていました。社員がまるで社長と同じように考え、行動しているのです。

「どの社員でも賜物を持った人たちです。社長の私と違った人、異なる意見の人がいるから互いに賜物を活かせるのです。」と社長は話します。
互いに役割を果して成長する会社である熱情が伝わってきます。
異なる賜物をもつ社員たちが見事に連携して会社というチームを創っている姿に触れ、企業の価値は外観や仕事内容ではなくそこに存在する社長をはじめ社員たち「人」そのものであることを実感しました。
この会社は高付加価値の中小企業モデルです。


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