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藤岡家住宅訪問記

12.10.05
SAVS会員 原田コンサルティング代表 原田 高峰
私は最近奈良県の農業と観光活性化を仕事の3本柱の1つに加えようと勉強しています。
そんな中、先日仲間の藤井先生に連れられて奈良県五條市近内町のうちのの里にある登録有形文化財「藤岡家住宅」を訪ねました。
うちのの里は大阪から下って金剛山のふもとの高野山に行く道とお伊勢さんに行く道の分岐点にあたり、その角に江戸時代からの庄屋さんである藤岡家はあります。建物は母屋、内蔵、茶房、貴賓の間、大広間、書斎、米蔵、薬医門、築地塀からなり、庄屋でありながら質商や両替屋、薬種商、さらには染物屋も営む商家であり屋号を大坂屋長兵衛と称したようです。
まず見せていただいたのが、店の間で帳場があり、大福帳や両替天秤、「腫毒散」と書かれた木製看板などでした。次に内蔵に案内されてその中に江戸時代の本物の金貨銀貨がたくさん整理されて陳列されており、珍しくてつい写真に撮りました。
さらには与謝野鉄幹や与謝野晶子の直筆の手紙が何通もあり、こんな田舎の家にと驚きでした。まだすべては整理出来ていなくて現在も学芸員によって整理中とのことなので文献がすべて解明できるのが今から楽しみです。
その次に貴賓の間を見せていただき、この部屋にはにじりぐちの付いた茶室まで用意されております。 商家でありながらこのような貴賓の間まで持っているとは驚きです。次に大広間に案内されたのですがここの建築材に多くの「屋久杉」が使用されており、また欄間やガラス戸の細工なども手の込んだお金にいとめをつけないすばらしいものばかりです。

ただ藤岡家の素晴らしさはこれだけではありません。明治21年に生まれた藤岡家の長男「藤岡長和」は第三高等学校から東京帝国大学法学部政治学科に進みエリート官僚として各地を回り佐賀県、和歌山県、熊本県の官選知事を務めたとのことでした。その仕事の傍ら中学のころから俳句や短歌に興味を持ちつづけ、高浜虚子らに師事し、のちに虚子をして「大和の大桜」と称されたほどの才覚を発揮されたようです。
正岡子規や鉄幹・晶子ほか石川啄木、森鴎外らとも交流があり、号を「藤岡玉骨」と称していたようです。

このように「藤岡家住宅」には庄屋としての歴史、商家としての当時の財力、そして文化人としての顔が残っている素晴らしい文化財です。是非一度訪れてみてください。
なおこの館は現在「田中の柿の葉寿司」の前社長が理事長を務めるNPO法人「うちのの館」が管理しており、入館料も300円とお安く丁寧に案内もしてくださいます。
http://www.uchinono-yakata.com/event_poster/manyo2010.pdf


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