研究会メンバーによる随想をお楽しみください。
国内市場が飽和するなか、日本の勝ち組企業に2極化の傾向が生まれている。 グローバル化を進めるトップ大企業への集中と、多様化する需要構造のもとで能力を発揮し、新たな需要・新市場を創出する元気で多彩なミクロ企業への分散である。 後者のなかでも特に存在感のあるニッチトップ(NT)企業についての最近の調査は、NT 企業の特長を
さて次世代への話しである。それでは 30 年、50 年先のニッチトップ企業を目指すにはどうすれば良いのだろうか。 決まった海図はもちろん無い。しかし必要条件は、これからブレークする市場、創成期から成長期に入る市場をターゲットに、果敢に新技術・新コンセプトに取組み、ニッチ市場の創出に自らチャレンジすることであろう。 それでは、次世代ニッチ産業分野としては何が有力だろうか。 様ざまな新市場が模索されている。新素材、電気自動車、スマートコミュニティ、介護ロボット……さらに先日の京都大学山中教授ノーベル賞受賞で話題沸騰の iPS 細胞とそのバイオ事業。 iPS 細胞によるバイオ・再生医療事業については、創薬支援から再生医療へと、将来の大きな可能性が感じられる。生命・長寿・美といったひとの根源的欲望に根ざす需要が巨大であることは疑いない。 しかも、大量生産型ではなくニッチ市場の集合となる可能性が高いのではないか。 電気自動車は、内燃エンジンからモーターへのパワートレインの変化が産業構造を変えると言われるが、主な構成要素は、モーター・インバータ・蓄電池など、規模のメリットが大きいものばかりである(大企業有利)。 一方、再生医療では、眼・心臓・血液・神経等、対象が違えばそのための再生技術・治療方法も異なり、それを支える装置・システムのビジネスにそれぞれ特化した企業が育ってもおかしくなかろう。 では一体、どう手を付けたら良いのか。第一に、これらを世に送り出すための国・公的機関の役割が重要であるが、我われ診断士がこれら新ニッチ市場の創出の一端を担うことができれば、診断士にとっても大変愉快なチャレンジとなるに違いない。 *1) 「日本のものづくりグローバル・ニッチトップ企業についての考察」 産業立地 2011 年 7 月号 |