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随想の広場

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ゆとり世代?

12.11.15
SAVS会員 KEC教育グループ 木村敢治
ゆとり世代という言葉をよく耳にする。ゆとり世代とは 2002 年度に改訂された学習指導要領による教育を受けた世代のことを指すらしい。ゆとり教育が学力の低下を招いたという批判をよく聞くがその検証が十分になされたかは疑わしい。また、世間ではゆとり世代という言葉が侮辱的に使用されており、ひどい場合には「これだから”ゆとり”は・・・」等のように、その世代の人格に問題があるような言われ方をされることもある。ある集団を一括りにして、一面だけを捉えてステレオタイプ的に一律に不当に低く扱うことは差別である。

学力面の問題であるが、多面的な検証は十分になされたのであろうか?よく学力テストの国際比較や時系列比較が取り上げられ、学力低下が指摘される。しかし、知識偏重を改めることを目的とした学習指導要領の改訂の効果測定を従来の知識偏重な学力テストを用いて行うことにどれ程の意味があるのだろうか。

人格面の問題であるが、「学力の低下」が「思考力の低下」と短絡的につながり、ひいては「考えが甘い」といった論理的誤差が生じているように思う。そもそも、学習指導要領は成長過程の人格形成にそれ程大きな影響を及ぼすのであろうか?むしろ、家庭や地域、学校等で行われる知識習得以外の様々な体験の方がはるかに影響が大きいと思う。その意味において、ゆとり教育が目指した経験重視型の教育方針は正しいと言える。

ゆとり教育問題は、文部官僚主導の新学習要領に教育現場が対応できなかったという運用上の問題であると思う。そのつけをこれから社会に出ようとする学生だけに負わせることはいかがなものか?環境変化の激しいこれからの時代に、これまでの知識偏重の人材では対応することは難しいだろう。ゆとり等と揶揄される世代が、経験重視型教育で養った能力を発揮し、(私を含む)知識詰め込み世代を見返すことを期待したい。


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