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新年に思う「絵に描いた餅」  〜中小企業の中期計画策定の意義〜

13.01.29
SAVS会員  川田ビジネス クリエーション 代表 川田 國博

お正月には餅はつきもの。私たち日本人は新年迎えて、餅を戴きながら、一年の計に想いを馳せることが多い。

昨年、ある中小企業(製造業)の中期計画策定支援の仕事を経験する機会があった。そこで「中期計画」についての想いを述べてみたい。中小企業が中期計画を策定するに際し、経営コンサルタントに支援を依頼することが少なくない。

陥りやすいのは、財務経理担当部門など一部の管理スタッフが、現状延長型の計画を独走して作成し、現業部門の人々はろくろく関与することなく、いつの間にか知らないところで「中期計画」なるもの決まってしまっているという事態である。そうなると社員の一人ひとりの仕事と結びつかず「お飾りもの」いわゆる「絵に描いた餅」になってしまう。その企業の経営実務に携わる人々の主体性がないと、一部のスタッフやコンサルタントが作成したものは机上のプランとなってしまい、血のかよったモノにならない。

中期計画策定では、通常、企業を取り巻く外部経営環境の変化、市場・事業構造の現状分析や財務体質から、企業の「強み弱み」を抽出し、「機会と脅威」を認識し、事業の核(コアコンピータンス)を見定め、経営ビジョンや経営戦略を導きだすプロセスとなる。

その次のステップとして事業展開、新製品開発、販売・生産計画、利益計画、資金計画というように展開される。

しかし、中期計画は各部門の計画をそのまま積み上げただけのものではない。
最初に経営トップたる社長が、この会社をどんな会社にしたいのか、自分の意思がまず明確に示されないと成り立たない。
将来予測される企業の危機に対して、「恐れ」ではなくどう対処するのか、その構えを築き意思を示す。一歩一歩実践していくことが大切だと思う。

トップの思いが社員全員に理解され浸透し、一人ひとりの果たすべき役割が明確にならないと、実行されない「絵に描いた餅」になってしまう。

社長が示す、販売計画の根拠となる「事業の柱」は何か、それをどのように育て、販路開拓はどうするのか、投資資金はどのように確保するのか、資金計画の基になる債権・債務の回転率、在庫の回転率を現状からどのように改善し、収益確保にするかその裏付けとなる策が織り込まれないと絵に描いた餅になると思う。 完



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